看護師が「夜勤辞めたい!」と思ったら最初に読む記事

看護師が「夜勤辞めたい!」と思ったら最初に読む記事

夜勤のある生活に限界を感じ始めていませんか?身体的な疲れや、家庭との両立の難しさ、そして医療事故への不安…。私も看護師として10年間働く中で、同じ悩みを抱えていました。

実は、夜勤に悩む看護師は決して少なくありません。看護師の約7割が夜勤に関する何らかの不安や課題を抱えているというデータもあります。

しかし、夜勤を辞めることへの不安も大きいものです。収入は減ってしまうのか、キャリアに影響はないのか、そもそも夜勤なしの働き方は本当に可能なのか…。

この記事では、看護師として10年の実務経験と、転職エージェントとして5年間で100名以上の看護師の転職支援を行ってきた経験をもとに、夜勤を辞めるための具体的な選択肢と実践的なアドバイスをお伝えしていきます。

1.看護師が夜勤を辞めるための4つの具体的な選択肢

夜勤を辞めたいと考えたとき、多くの看護師は「転職するしかない」と思いがちです。しかし、実際には複数の選択肢があります。ここでは、私が支援してきた看護師の方々の実例をもとに、次の4つの具体的な選択肢をご紹介します。

  • 【選択肢1】現職場での日勤専従への変更交渉
  • 【選択肢2】夜勤なしの病院・施設への転職
  • 【選択肢3】クリニックでの勤務に切り替え
  • 【選択肢4】訪問看護ステーションへの転職

それぞれの選択肢について、詳しく見ていきましょう。

1-1.【選択肢1】現職場での日勤専従への変更交渉

最も身近な選択肢は、現在の職場で日勤専従への変更を申し出ることです。実は多くの病院では、一定の条件のもと、日勤専従での勤務を認めています。

現職場で日勤専従に変更するメリットは、慣れた環境で働き続けられることです。人間関係も業務内容も分かっているため、新しい環境に慣れる負担がありません。また、キャリアの継続性という面でも、同じ職場で働き続けることには大きな価値があります。

日勤専従への変更が認められやすい条件としては、以下のようなケースがあります。

子育てや介護などの家庭の事情がある場合
健康上の理由がある場合(持病や体調不良など)
勤続年数が長く、実績が認められている場合

具体的な交渉の進め方としては、まず看護部長や師長に相談し、病院の制度や条件を確認することから始めます。その際は、単に「夜勤を辞めたい」と伝えるのではなく、自身の状況や理由を具体的に説明し、どのように業務に貢献していけるかという展望も含めて提案することが重要です。

1-2.【選択肢2】夜勤なしの病院・施設への転職

現職場での日勤専従が難しい場合、次の選択肢として考えられるのが、最初から夜勤のない病院や施設への転職です。

夜勤のない病院・施設には、主に以下のような種類があります。

透析クリニック(多くが日勤のみの3交代制)
健診センター(平日日勤がメイン)
企業の健康管理室(平日日勤)
デイケア・デイサービス(日中のみの運営)

これらの施設では、急性期病院とは異なる専門性や技術が求められますが、その分、新しいスキルを身につけることができます。また、規則正しい生活リズムで働けることから、ワークライフバランスを重視する看護師に人気の選択肢となっています。

1-3.【選択肢3】クリニックでの勤務に切り替える

夜勤なしの働き方として、多くの看護師が選択しているのがクリニックでの勤務です。特に内科や小児科などの一般的なクリニックは、基本的に日中のみの診療となるため、生活リズムが整いやすいという特徴があります。

クリニックで働くことの最大のメリットは、外来診療を中心とした比較的落ち着いた環境で働けることです。急性期病院と比べると、緊急対応は少なく、定時での帰宅も期待できます。また、患者さんと継続的な関わりを持てることから、じっくりと看護に取り組める環境だと言えます。

私が支援した看護師の中には、子育て中の方も多く、特に学校行事への参加や習い事の送迎など、子どもとの時間を大切にしたいと考える方に好評でした。

ただし、クリニックでの勤務を検討する際は、以下のような点もしっかりと確認する必要があります。

1人または少人数の看護師体制となることが多いため、責任は大きくなります。その分、院長や医師との信頼関係が重要になってきます。また、給与面では多くの場合、夜勤手当がなくなる分、病院勤務時より収入は減少する傾向にあります。

1-4.【選択肢4】訪問看護ステーションへの転職

病院での夜勤を辞めたいと考える看護師の選択肢として、近年特に注目を集めているのが訪問看護です。在宅医療のニーズが高まる中、訪問看護師の需要は年々増加しており、働き方の自由度が高いことから人気の職場となっています。

訪問看護の魅力は、時間の融通が利きやすい点です。多くの訪問看護ステーションでは、9時から17時までの日勤勤務が基本となります。オンコール(緊急時の待機)がある場合もありますが、日中のみの対応で、実際の呼び出しは比較的少ないのが特徴です。

また、訪問看護では1人の患者さんとじっくり向き合える時間があり、その人らしい生活を支えるという看護の本質的な喜びを感じられる仕事です。私が支援した40代のベテラン看護師は、「病院では十分にできなかった、患者さんに寄り添う看護ができるようになった」と語っていました。

ただし、訪問看護は1人で患者さんのお宅を訪問するため、臨機応変な判断力と、コミュニケーション能力が求められます。また、運転免許は必須となりますし、天候に関係なく訪問する必要があるなど、体力面での考慮も必要です。

以上、4つの選択肢をご紹介しましたが、それぞれにメリット・デメリットがあります。次の章では、これらの選択肢を検討する際に、必ず確認しておくべき重要なポイントについてお伝えしていきます。

2.夜勤を辞める前に知っておくべき重要ポイント

夜勤なしの働き方に変更する際には、いくつかの重要な変化が生じます。これらの変化に対する準備をしっかりとしておくことで、新しい働き方への移行をスムーズに進めることができます。

2-1.収入面の変化と対策

まず直面する大きな変化が収入面です。夜勤手当がなくなることで、一般的に月収は2~5万円程度減少します。ただし、この収入の変化は決して乗り越えられない壁ではありません。

実際に私が支援してきた看護師の方々は、以下のような方法で収入面の課題に対応していました。

  • 基本給の高い職場を選ぶ
  • 専門性の高い職場を選ぶ
  • 資格取得やスキルアップを図る

具体的に見ていきましょう。

【基本給の高い職場を選ぶ】
第一に、基本給の高い職場を選ぶという方法があります。夜勤手当はなくても、基本給で補える職場は確実に存在します。

【専門性の高い職場を選ぶ】
特に、透析クリニックや企業の健康管理室など、専門性の高い職場では、夜勤なしでも病院勤務と遜色ない給与水準を提示してくれるところが増えています。

【資格取得やスキルアップを図る】
また、時間的余裕を活かして資格取得やスキルアップを図り、より条件の良い職場への転職につなげるという選択肢もあります。認定看護師や特定行為研修修了者などの資格があれば、日勤のみでも高い給与を得られる可能性が広がります。

2-2.キャリアへの影響

夜勤を辞めることで、キャリアに影響はないのだろうか。これは多くの看護師が抱える不安です。

結論から申し上げると、夜勤なしの働き方を選んでも、むしろキャリアの可能性は広がる場合も多いのです。私が支援した看護師の中には、日勤専従に変更したことで時間的余裕が生まれ、大学院で学びながら専門性を高めた方や、新しい分野でのスキルを習得できた方が数多くいます。

特に近年は、在宅医療の需要増加や、企業の健康経営への注目度の高まりにより、夜勤なしの看護師の活躍の場が急速に広がっています。むしろ日勤での経験を積むことで、将来的なキャリアの選択肢が増える可能性すらあるのです。

2-3.職場環境・業務内容の違い

夜勤なしの職場に移る際には、業務内容や職場環境の違いにも注意が必要です。

例えば、クリニックや訪問看護では、急性期病院とは異なる判断力や対応力が求められます。病院では当たり前にあった医療機器や支援体制がない中で、より自立的な判断が必要になることも多いでしょう。

また、職場の人間関係も大きく変わります。病院では大勢のスタッフと関わりながら働いていましたが、クリニックでは少人数での連携が中心となります。訪問看護では1人で判断し行動する場面が増えます。

病院:大勢のスタッフとの連携が中心
クリニック:少人数での密接な連携が必要
訪問看護:1人での判断・行動が基本

こうした違いは、決してデメリットではありません。むしろ新しい経験を通じて、看護師としての視野を広げるチャンスとなります。ただし、事前に十分な理解と心構えを持っておくことが、スムーズな移行のためには重要です。

3.夜勤なし看護師として長く働くためのキャリアプラン

夜勤なしの働き方を選択したあとも、看護師としての成長は続きます。むしろ、時間的な余裕ができることで、新たなキャリアの可能性が広がるとも言えます。ここでは、私が支援してきた看護師の方々の経験をもとに、長期的なキャリアの築き方についてお伝えします。

3-1.スキルアップで評価を高める方法

夜勤がなくなることで生まれる時間を、積極的にスキルアップに活用することをお勧めします。特に日勤専従の看護師の方々の間で人気が高いのが、認定看護師の資格取得です。

実際に私が支援した看護師の中には、皮膚・排泄ケア認定看護師の資格を取得し、その専門性を活かして病院の外来部門で活躍されている方がいます。夜勤がないことで研修や勉強の時間が確保しやすくなり、より専門的なキャリアを築くことができました。

また、最近では特定行為研修の受講も増えています。この研修を修了することで、医師の手順書のもと、一定の医療行為を行うことができるようになります。訪問看護の現場などでは、特に重宝される資格となっています。

3-2.専門性を活かした働き方の選択

日勤の働き方でこそ発揮できる専門性というものも確実に存在します。例えば、糖尿病看護や透析看護、がん化学療法看護などの分野では、継続的な患者教育や細やかな観察が重要となります。

これらの分野では、むしろ規則正しい勤務時間の中で、じっくりと患者さんと向き合える環境が望ましいとされています。私が支援した看護師の中には、病棟看護から透析看護に転向し、その道のスペシャリストとして高い評価を得ている方もいます。

外来や健診センターなどでも、予防医療や健康管理の視点から、専門的なスキルを活かせる場面が増えています。企業の健康管理室では、従業員の健康相談や保健指導など、看護師としての知識と経験を存分に活かせる業務が中心となります。

3-3.ワークライフバランスの実現事例

夜勤なしの働き方は、プライベートの充実にもつながります。ここで重要なのは、その時間をどう活用するかという視点です。

育児中の看護師の場合、子どもの学校行事への参加や習い事の送迎など、家族との時間を確保できることが大きなメリットとなります。実際に、クリニックに転職した30代の看護師は、「子どもの成長をしっかりと見守れるようになった」と話していました。

また、自己啓発の時間として活用している方も少なくありません。英語を学んで海外の医療情報にアクセスできるようになった方や、医療事務の資格を取得してマネジメント業務にも携わるようになった方など、様々な形で自己実現を果たしています。

さらに、趣味や運動の時間を確保することで、心身の健康を保ちながら長く働き続けることができます。訪問看護に転職した40代の看護師は、「早朝のヨガで心身をリフレッシュしてから仕事に向かえるようになり、患者さんへの対応にも余裕が出てきた」と語っています。

4.夜勤なしで働く看護師の実際の体験談

これまでお伝えしてきた内容をより具体的にイメージしていただくため、実際に夜勤なしの働き方に移行された看護師の方々の体験談をご紹介します。一人ひとり異なる事情や目標を持ちながら、どのように新しい働き方を実現されたのか、詳しくお伝えしていきます。

4-1.子育て中の看護師の事例

田中さん(仮名)は、大学病院の救急外来で7年間勤務されていた方です。第一子の出産後、夜勤と育児の両立に苦心されていました。特に、夜勤明けの日の保育園の送迎は体力的にきつく、子どもと十分に向き合う時間も取れないことに悩んでいました。

最初は離職も考えましたが、キャリアアドバイザーとの相談を通じて、日勤専従が可能な透析クリニックへの転職を決意されました。現在は、毎日決まった時間に帰宅でき、子どもと夕食を共にする時間も確保できています。

「確かに夜勤手当がなくなり、収入は減りました。でも、子どもの笑顔を毎日見られることの方が大切だと気づきました。透析看護という新しい分野で、また違った形でやりがいも見つけることができました」と話してくれました。

4-2.体調不良をきっかけに転職した看護師の事例

山田さん(仮名)は、総合病院の外科病棟で12年間勤務されていました。40代に入ってから、夜勤による不規則な生活リズムが体調に影響を及ぼすようになり、特に胃腸の不調や慢性的な頭痛に悩まされるようになりました。

「このまま続けていたら、患者さんの命を危険にさらすことになるかもしれない」という危機感から、訪問看護への転職を決意されました。

現在は、訪問看護ステーションで日勤のみの勤務をされています。「最初は不安もありましたが、患者さんのご自宅での生活に寄り添う看護は、新鮮で充実感があります。体調も随分と良くなりました」とのことです。

オンコール対応はありますが、実際の呼び出しは月に1-2回程度で、しっかりと休息が取れる生活リズムが確立できたそうです。また、訪問看護では、患者さんやご家族とじっくり向き合える時間があることにも、新たなやりがいを感じているとお話しくださいました。

4-3.キャリアアップを実現した看護師の事例

佐藤さん(仮名)の事例は、夜勤なしの働き方でもキャリアアップが可能であることを示す好例です。大学病院の循環器内科病棟で10年間勤務された後、体力的な限界を感じて夜勤なしの働き方を探し始めました。

しかし、佐藤さんには「循環器看護の専門性を活かしたい」という強い思いがありました。相談の結果、大手企業の健康管理室への転職を選択。そこで得られた時間を活用して、産業保健師の資格も取得されました。

現在は、企業の従業員に対する生活習慣病予防指導や、メンタルヘルスケアなど、幅広い分野で活躍されています。「夜勤をしていた頃は、目の前の業務をこなすのが精一杯でした。でも今は、看護の専門性を活かしながら、予防医療の観点からじっくりと関わることができています」と語ってくれました。

おわりに

夜勤を辞めたいと考えることは、決して特別なことではありません。むしろ、自分らしい看護のあり方を見つめ直すきっかけになるかもしれません。

この記事で紹介した選択肢や事例は、あくまでも一例です。大切なのは、ご自身の状況や目標に合わせて、最適な道を選ぶことです。

夜勤なしの働き方は、決してキャリアの後退を意味するものではありません。むしろ新しい可能性を開く扉となる場合も多いのです。私自身、多くの看護師の方々の転職支援を通じて、それを実感してきました。

もし今、夜勤に悩みを抱えているのであれば、まずは可能性を探ってみてはいかがでしょうか。あなたらしい働き方は、必ず見つかるはずです。

看護師としてのキャリアを諦める必要はありません。むしろ、より自分らしく、長く働き続けられる方法を見つけることこそが、私たち看護師に求められているのかもしれません。

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