子育てをしながら看護師を続けるのは無理かもしれない…。看護師として働きながら子育てをする中で、このような不安や悩みを抱えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。
私は看護師として10年間、救急外来や一般病棟、手術室などで勤務してきました。その経験を活かし、現在は看護師転職コンサルタントとして、5年間で3000名以上の看護師の方々のキャリア相談に携わってきました。
その中でも特に多いのが、子育てと仕事の両立に関する相談です。実際、厚生労働省の調査によると、看護師の離職理由の中で「出産・育児のため」が22.1%と最も多いことが報告されています。
しかし、私がお会いしてきた多くのママ看護師の方々は、適切な環境と働き方を選ぶことで、子育てと仕事を無理なく両立させています。むしろ、仕事を通じて得られる充実感や成長が、子育ての原動力になっているとおっしゃる方も少なくありません。
本日は、まず具体的な解決策をご紹介し、その後で直面しがちな課題とその対処法について詳しくお伝えしていきます。
- 子育てをしながら看護師を続けることの難しさと対処法
- 子育て中の看護師が抱える具体的な悩みとその解決策
- 両立を実現するための具体的な選択肢と方法
- 子育てと仕事を両立できる職場の特徴と探し方
- ママ看護師が生き生きと働くための転職戦略
1.子育てと仕事を両立できる看護師の働き方
子育てと仕事の両立で悩まれているママ看護師が多い反面、子育てと仕事を両立させ、いきいきと働いている方も多くいらっしゃいます。
では、どのような働き方を選べば両立が可能になるのでしょうか。まずは具体的な解決策からご紹介していきます。
1-1.両立しやすい職場の3つの特徴
子育てと仕事を両立できている看護師の方々が働く職場には、共通する特徴があります。私が転職支援をさせていただいた方々の事例から、特に重要な3つの特徴をご紹介します。
- 子育て中の看護師への理解がある
- 柔軟な勤務体制が整っている
- キャリアアップ支援が充実している
子育て中の看護師への理解がある
院長や看護部長自身が子育て経験者である、もしくは子育て中の看護師が多く在籍しているため、急な休みへの対応がスムーズな職場が該当します。
柔軟な勤務体制が整っている
時短勤務や夜勤免除などの制度が整備されているだけでなく、実際に利用しやすい雰囲気があります。また、急な勤務変更にも対応できる人員体制が整っている職場です。
キャリアアップ支援が充実している
子育て中でも研修や勉強会に参加できるよう、開催時間を工夫したり、オンライン受講を可能にしたりする配慮がなされています。このような支援があることで、育児中でもスキルアップを諦める必要がありません。
1-2.選べる働き方の種類と特徴
両立しやすい働き方として、子育ての状況や希望するワークライフバランスに応じて、さまざまな選択肢があります。
クリニックでの外来勤務は、夜勤がなく、比較的規則正しい生活リズムで働けます。また、日曜・祝日が休みの施設が多いため、子どもと過ごす時間も確保しやすいという特徴があります。
訪問看護は、時間の融通が利きやすく、子どもの急な体調不良にも対応しやすい環境です。スキルアップの機会も多く、看護師としての専門性を高められる魅力があります。
企業の健康管理室や学校の保健室など、従来の医療機関以外での働き方も増えています。これらの職場は土日祝日が休みで、長期休暇も取得しやすいのが特徴です。
1-3.ワークライフバランスを重視した転職という選択
私の経験上、子育てと仕事の両立に悩む看護師の方の多くは、現在の職場環境を変えることで問題が解決できるケースがほとんどです。
特に、夜勤のある総合病院から日勤のみのクリニックへ転職したり、急性期病院から回復期病院へ移ったりすることで、生活にゆとりが生まれ、子育ても仕事も充実させられるようになった方が数多くいらっしゃいます。
実際の転職成功事例
先日私がサポートさせていただいたAさんは、2歳と4歳のお子さんを育てながら急性期病院で働いていましたが、夜勤と日中の急患対応の両立に限界を感じていました。じっくりと希望や状況を伺った上で、日勤のみの透析クリニックをご紹介させていただきました。現在は定時で帰宅でき、お子さんと過ごす時間も増え、「こんなに働きやすい環境があったなんて」と喜んでいただいています。
2.看護師と子育ての両立で直面する5つの壁
このように、適切な環境を選ぶことで両立は十分可能です。しかし、その環境を探す前に、まずは現在直面している課題を整理しておきましょう。
子育てと看護師の仕事の両立に悩む方々から、私がよく相談を受ける内容は主に次の5つです。
- 体力的な限界と時間の制約
- 子どもの急な体調不良への対応
- 職場の理解が得られない
- 夜勤シフトの調整が困難
- 自分の時間が持てない焦りと不安
これらの課題について、具体的に見ていきましょう。
2-1.体力的な限界と時間の制約
看護師の仕事は体力との戦いです。特に夜勤がある病棟勤務では、昼夜逆転の生活による疲労が蓄積していきます。子どもがいると、仕事から帰った後も家事や育児に追われ、十分な休息を取ることができません。
「夜勤明けで疲れているのに、保育園のお迎えまでに帰らなければいけない」「休日も子どもの世話で休めない」という声をよく耳にします。この状況が続くと、心身ともに限界を感じてしまいます。
6:00 起床、子どもの準備
7:30 保育園送り
8:30 病院到着、日勤開始
17:00 定時(でも残業が多い)
18:00 保育園お迎え
19:00 帰宅、家事・育児
22:00 やっと一段落
23:00 明日の準備、就寝
このようなハードなスケジュールを毎日こなすのは、想像以上に大変です。
特に夜勤が入る週は、この生活リズムが大きく崩れ、心身への負担が何倍にも膨れ上がります。
2-2.子どもの急な体調不良への対応
子育て中の看護師にとって、最も頭を悩ませる問題の一つが、子どもの体調不良への対応です。
保育園から「熱が出たので迎えに来てください」という連絡を受けても、患者さんのケアの途中で急に抜けることはできません。かといって、子どもを迎えに行かないわけにもいきません。
このような状況で、同僚に負担をかけてしまうことへの申し訳なさや、子どもを待たせてしまうことへの罪悪感に苦しむ方が多くいらっしゃいます。
2-3.職場の理解が得られない
子どもの体調不良による急な欠勤や、残業ができないことへの理解が得られず、職場での孤立感を感じるママ看護師は少なくありません。
「子どもがいる私だけ特別扱いされている」「周りの迷惑になっているのではないか」という不安を抱えながら働いている方もいらっしゃいます。特に、未婚の同僚や子育て経験のない上司が多い職場では、この問題が深刻になりやすいのです。
このような環境では、いくら頑張っても周囲との関係性に悩み、精神的な負担が重くのしかかってきます。
2-4.夜勤シフトの調整が困難
看護師の仕事において、夜勤は避けて通れない課題です。特に子育て中は、夜勤のシフトを組むこと自体が大きな壁となります。
保育園に預けられる時間には制限があり、夜間保育のサービスがあっても、子どもの生活リズムを考えると利用を躊躇してしまいます。パートナーの協力が得られない場合は、夜勤の調整がさらに難しくなります。
「夜勤ができないと言いづらい」「シフトの調整をお願いするたびに気を遣う」といった声も多く、この問題で退職を考える方も少なくありません。
2-5.自分の時間が持てない焦りと不安
子育てと仕事に追われる毎日の中で、自分の時間を持つことは極めて困難です。キャリアアップのための勉強や資格取得の機会を逃してしまい、このままでは看護師としての成長が止まってしまうのではないかという不安を感じる方も多くいらっしゃいます。
また、子どもの成長とともに自分の将来について考える時間も必要です。しかし、目の前の仕事と育児に精一杯で、将来のキャリアプランを立てる余裕すら持てないという状況に陥りがちです。
このように、子育てをしながら看護師を続けることには、さまざまな困難が伴いますが、適切な環境と働き方を選ぶことで、これらの課題は必ず解決できます。
転職は決して後ろ向きな選択ではありません。むしろ、自分らしい働き方を実現するための積極的な一歩となります。次章では、転職を含めた様々な選択肢を支える制度について詳しく見ていきましょう。
3.子育て中の看護師が知っておくべき支援制度
子育てと仕事の両立をサポートする制度は、実はたくさん用意されています。これらの制度を知り、活用することで、より働きやすい環境を整えることができます。ここでは、私が支援してきた看護師の方々が実際に活用して成果を上げている制度をご紹介します。
3-1.法律で定められた支援制度
全ての医療機関が必ず整備しなければならない法定の支援制度があります。これらは働く看護師の権利として、遠慮なく活用していただきたい制度です。
育児休業制度は、子どもが1歳(状況により最長2歳)になるまで取得できます。また、子どもが3歳になるまでは短時間勤務制度を利用でき、所定労働時間を1日6時間まで短縮することができます。
さらに、子どもの看護休暇として、小学校就学前の子どもが1人であれば年5日、2人以上であれば年10日の休暇を取得できます。これらの制度は、正社員だけでなく、一定の条件を満たすパートタイム労働者も利用することができます。
3-2.病院独自の支援制度
法定の制度に加えて、看護師の働きやすさを重視する病院では、独自の支援制度を設けています。これらの制度の有無や充実度は、働き方の選択肢を大きく広げる重要なポイントとなります。
例えば、夜勤免除制度を設けている病院では、子どもが小学校入学するまで夜勤を免除する制度を導入しています。また、院内保育所を完備し、24時間保育や病児保育に対応している病院も増えてきました。
さらに、育児短時間正職員制度を導入し、子育て中でもキャリアを継続できる仕組みを整えている病院も出てきています。このような独自の支援制度は、その病院の子育て支援に対する姿勢を表す重要な指標となります。
3-3.利用できる行政サービス
病院の制度以外にも、行政が提供する子育て支援サービスを上手に活用することで、より柔軟な働き方が可能になります。
例えば、ファミリー・サポート・センターは、地域の子育て経験者が子どもの送迎や一時預かりをサポートしてくれるサービスです。保育園のお迎えが間に合わない時や、急な残業が入った時などに利用できます。
また、病児保育施設や一時保育施設なども、子どもの体調不良時や保育園が休みの時の強い味方となります。これらのサービスは地域によって内容や利用条件が異なりますので、お住まいの地域の制度をよく確認することをおすすめします。
このように、様々な支援制度を組み合わせることで、子育てと仕事の両立の可能性は大きく広がります。次章では、これらの制度を活用しながら、実際にどのように理想の働き方を実現していけばよいのか、具体的な方法をご紹介していきます。
4.子育てしながら生き生きと働くママ看護師になるために
これまで見てきた支援制度の活用方法や様々な働き方の選択肢を踏まえて、いよいよ具体的なアクションプランについてお話ししていきます。子育てと仕事の両立に悩んでいる今が、むしろ理想の働き方を見つけるチャンスかもしれません。
ここからは、あなたらしい働き方を実現するための実践的な方法をお伝えします。
4-1.理想の働き方を実現するための具体的なステップ
まず最初に、理想の働き方を実現するための具体的なステップをご紹介します。
- 望む働き方を明確にする
- 現職場での実現可能性を検討する
- 必要に応じて転職を検討する
望む働き方を明確にする
まず最初に行うべきことは、自分が望む働き方を明確にすることです。例えば「土日は必ず家族と過ごしたい」「夜勤は月2回までなら対応できる」「残業は週1回程度まで」など、できるだけ具体的に理想の働き方をイメージしましょう。
現職場での実現可能性を検討する
その上で、現在の職場でその理想を実現できるかどうかを冷静に考えます。職場の雰囲気や制度を見直し、上司に相談してみることで解決できる場合もあります。しかし、職場の体制や文化が大きく変わることは難しいのが現実です。
必要に応じて転職を検討する
もし現在の職場での改善が難しいと判断した場合は、転職という選択肢を真剣に検討する時期かもしれません。転職は決して逃げではなく、より良い環境で看護師としての経験を活かすための前向きな選択です。
4-2.職場探しで重視すべきポイント
理想の職場を見つけるためには、表面的な求人情報だけでなく、実際の職場環境をしっかりと確認することが重要です。
- 子育て支援の実態(在籍人数、シフト、急な休暇対応など)
- 育児支援制度の利用実績
- 管理職の子育てに対する考え方
子育て支援の実態
子育て中の看護師の在籍人数や、実際の勤務シフトの組み方、急な休みへの対応方法など、具体的な運用面まで確認しましょう。表面的な制度の有無だけでなく、実際の運用実態を知ることが重要です。
育児支援制度の利用実績
面接時には遠慮せずに育児支援制度の利用実績について質問することをおすすめします。制度があっても利用しづらい雰囲気では、両立は難しくなってしまいます。
管理職の子育てに対する考え方
特に重要なのは、看護部長や主任の子育てに対する考え方です。私の経験上、管理職が子育てに理解がある職場では、現場レベルでも柔軟な対応がしやすい傾向にあります。面接では、そういった職場の雰囲気も感じ取るようにしましょう。
4-3.転職成功のためのアドバイス
子育て中の看護師の転職を成功に導くために、特に重要なアドバイスをお伝えします。
転職活動では、まず複数の求人情報を比較検討することが大切です。1つや2つの求人だけを見て判断するのではなく、できるだけ多くの選択肢の中から自分に合った環境を探しましょう。その際、看護師転職サイトや転職エージェントを利用することで、より多くの情報を効率的に集めることができます。
また、面接では子育てをしていることを隠さず、むしろ積極的に伝えることをおすすめします。「子育てをしながらでも頑張りたい」という意欲は、多くの医療機関で高く評価されます。そして、具体的な両立プランを示すことで、より前向きな評価につながります。
面接後は、可能であれば職場見学や先輩ママ看護師との面談の機会をお願いしてみましょう。実際の職場の雰囲気や、子育て中の先輩の体験談を聞くことができれば、入職後のミスマッチを防ぐことができます。
- 希望の勤務時間帯で働ける?
- 残業は月何時間程度?
- 急な休みにも対応できる?
- 育児支援制度は実際に利用できる?
- 子育て中の先輩看護師の様子は?
転職に関する不安や悩みは、専門家に相談することをおすすめします。私たち看護師転職のプロフェッショナルが、あなたの状況やご希望を丁寧にお伺いした上で、最適な転職先を提案させていただきます。子育て中の看護師さんの転職支援は私たちの得意分野です。些細な疑問でも構いませんので、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
子育てと看護師の仕事の両立は、決して簡単なことではありません。しかし、適切な環境と働き方を選ぶことで、必ず実現できるものです。
今回ご紹介した支援制度や働き方の選択肢を参考に、ご自身にとって最適な環境を探してみてください。転職という選択肢も、より良い環境で看護師としての経験を活かすための有効な手段の一つです。
看護師としての経験を活かしながら、子育ても充実させたい。そんなあなたの想いを叶えるために、私たちは親身になってサポートさせていただきます。まずは気軽にご相談ください。あなたらしい働き方を一緒に見つけていきましょう。
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