看護師の休みが少ない職場から抜け出す方法を転職のプロが徹底解説

「休みが全然取れない…」「休日も急な呼び出しで出勤することがある…」このように、休みの少なさに悩んでいる看護師の方は多いのではないでしょうか。

看護師の仕事は24時間365日、患者さんの命と向き合う重要な職業です。そのため、一般的な仕事と比べて休みが取りづらい環境にあることは事実です。しかし、同じ看護師でも、休暇を取得しやすい職場とそうでない職場があります。

私は看護師として10年間働いた後、看護師専門の転職エージェントとして5年間、年間100名以上の看護師さんのキャリア相談に携わってきました。その経験から、休みの問題で悩む看護師の方々の相談を数多く受けてきました。

この記事では、看護師の休みの実態から、休みを取りやすくするためのポイント、そして休みが取りやすい職場の特徴まで、具体的にお伝えしていきます。あなたの働き方を見直すきっかけにしていただければ幸いです。

1.看護師の休みはどのくらい？現状と実態を詳しく解説

看護師として働く中で「休みが少ない」と感じている方は少なくありません。まずは看護師の休みの実態について、具体的な数字とともに見ていきましょう。

1-1.看護師の平均休日数は他業種と比べてどうなのか

看護師の休日数は、一般的な会社員と比べると確かに少ない傾向にあります。厚生労働省の調査によると、看護師が多く勤務する病院では、年間休日数の平均が116日となっています。これは一般企業の平均である125日と比べると、約9日少ない計算になります。

以下の表は、看護師の休日の特徴を一般企業と比較したものです。

さらに重要なのは、休日の「質」です。看護師の休日は、一般的な会社員とは異なる独特の課題があります。

休日の不規則さ

看護師は24時間体制でシフトを組む必要があるため、土日祝日が必ずしも休みになるとは限りません。そのため、家族や友人との予定が立てづらく、平日に休みが多くなりがちです。

休養の質の問題

夜勤明けの休みは、体調の回復に充てられることが多く、実質的な休養や余暇の時間として使えないことも。これは休日数だけでは見えてこない、看護師特有の課題と言えます。

このような状況は職場環境によって大きく異なります。次のセクションでは、どのような職場で休みの取得状況に違いが出るのか、詳しく見ていきましょう。

1-2.職場によって異なる休みの取りやすさ

看護師の休みは、勤務する医療機関の種類や規模によって大きく異なります。私の転職支援の経験から、特に以下のような違いがあることがわかっています。

病院の規模による違い

大規模病院では看護師の人数が多いため、シフトの調整がしやすく、基本的な休暇は取得しやすい傾向にあります。しかし、救急対応や夜勤が多いため、不規則な勤務になりやすいという特徴があります。

一方、中小規模の病院では、人数が限られているため急な休みへの対応が難しい場合があります。ただし、夜勤の回数が少なかったり、救急対応が限定的だったりするため、規則的な生活を送りやすいというメリットもあります。

診療科による違い

内科や小児科など、外来診療が中心の診療科では、比較的規則的な休みを取ることができます。土日祝日が休みになることも多く、生活リズムが作りやすいという特徴があります。

一方、救急科や産婦人科などでは、24時間体制での対応が必要なため、不規則な勤務になりやすく、休日であっても呼び出しがある可能性が高くなります。

施設の種類による違い

クリニックや介護施設では、夜間診療がないことが多く、比較的規則的な休みを取ることができます。特にクリニックは土曜午後や日曜が休診となることが多いため、週末の予定が立てやすいという利点があります。

ただし、小規模な施設では看護師の人数が限られているため、急な休みの対応が難しく、休暇を取得しづらいという課題もあります。

1-3.休みが少ないと感じる3つの理由

このように職場によって休暇の実態は異なりますが、看護師が休みの少なさを感じる理由には、共通する要因があります。

心身の疲労が蓄積しやすい勤務体制

夜勤や長時間勤務により、休日であっても十分な休養が取れないことがあります。夜勤明けの休みは、体調を整えるために使われることが多く、実質的な余暇として活用できないというのが現状です。

人手不足による業務負担

現在、看護師は慢性的な人手不足の状態が続いています。そのため、急な欠勤や突発的な対応が必要な場合、休日出勤を求められることもあります。また、人手が足りない分、一人あたりの業務量が増え、休みを取ることへの心理的な負担も大きくなります。

休暇を取得しづらい職場の雰囲気

医療現場特有の使命感や責任感から、「患者さんのために」と休暇取得を我慢してしまうことがあります。また、「みんなも我慢しているのに」という雰囲気が、休暇申請をためらわせる原因になっているケースも少なくありません。

このような状況は、決して避けられないものではありません。次の章では、このような環境下でも休みを取りやすくするための具体的な方法についてお伝えしていきます。

2.看護師が休みを取りやすくするためのポイント

休みが少ない状況を改善するためには、まず現在の職場でできることから始めていく必要があります。私が看護師として働いていた経験と、多くの看護師さんの相談に応じてきた経験から、効果的な方法をご紹介します。

2-1.シフト調整の具体的な方法とコツ

シフト調整は、看護師が休みを確保するための最も基本的なスキルです。以下のような方法で、より効果的な調整が可能になります。

事前の希望提出を確実に

シフト希望は必ず提出期限に間に合うようにしましょう。遅れると他の方の予定と重なってしまい、調整が難しくなります。できれば提出期限の1週間前には希望を整理しておくことをおすすめします。

同僚との協力関係を築く

急な予定変更が必要になった時のために、普段から同僚と良好な関係を築いておくことが重要です。自分も相手の急な依頼に対応できるよう、できる限り協力する姿勢を見せましょう。そうすることで、お互いに助け合える関係が作れます。

重要なのは、シフト調整を「お願い」ではなく「取引」として考えることです。自分が休みたい日の代わりに、相手が休みたい日のシフトを引き受けるなど、Win-Winの関係を作ることを心がけましょう。

2-2.現場で使える有給休暇の上手な取り方

有給休暇は労働者の権利として認められているものですが、医療現場では取得をためらってしまう方も多いのが現状です。以下のような方法で、より取得しやすい環境を作ることができます。

計画的な申請を心がける

突発的な有給取得は、周囲の負担を増やしてしまう可能性があります。できるだけ2ヶ月前には申請を出すようにしましょう。そうすることで、職場側も人員の調整がしやすくなります。

取得理由は明確に

「私用です」という曖昧な理由ではなく、「子どもの学校行事」「健康診断」など、具体的な理由を伝えることで、上司や同僚の理解を得やすくなります。ただし、プライバシーに関わる内容は詳しく説明する必要はありません。

分割取得も検討する

1日単位での取得が難しい場合は、時間単位での取得も検討してみましょう。例えば、午前中だけ休むなど、柔軟な取得方法を活用することで、より休暇を取りやすくなります。

2-3.休みが取れない状況を改善するための対策

休みが取れない状況には、必ず何らかの原因があります。その原因を特定し、適切な対策を講じることが重要です。

業務の効率化を図る

日々の業務を見直し、無駄な作業や重複している作業がないかチェックしましょう。記録の方法を工夫したり、優先順位をつけて仕事を進めたりすることで、残業を減らし、休みを取りやすい環境を作ることができます。

管理者との話し合い

休暇が取りづらい状況について、具体的な数字や事例を示しながら上司と話し合うことも有効です。例えば、「過去3ヶ月の有給取得率が20%未満」といった具体的なデータを示すことで、問題の深刻さを理解してもらいやすくなります。

職場全体の意識改革

一人ひとりが休暇を取得する権利を持っているという認識を、職場全体で共有することが大切です。まずは自分から「休暇を取ることは当たり前」という姿勢を見せていきましょう。

しかし、これらの対策を講じても改善が見られない場合もあります。そのような時は、より働きやすい環境を求めて転職を検討することも一つの選択肢となります。次の章では、休みが取りやすい職場の特徴について詳しく見ていきましょう。

3.休みが取りやすい職場の特徴と見分け方

これまでの対策を試みても改善が難しい場合、より働きやすい環境への転職を検討することも一つの選択肢です。私が転職支援をさせていただいた看護師の方々の事例から、休みが取りやすい職場の特徴をご紹介します。

3-1.休みが取りやすい職場の5つの共通点

休みが取りやすい職場には、必ず共通する特徴があります。これらの特徴は、実際に看護師の方々から高い満足度を得ている職場で確認されているものです。

人員配置が充実している

基準以上の看護師が配置されている職場では、急な休みにも対応がしやすく、有給休暇も取得しやすい環境が整っています。また、常勤だけでなく、非常勤やパートの看護師も適切に配置されていることで、柔軟なシフト調整が可能になっています。

休暇制度が明確

有給休暇の取得方法や、夏季・冬季休暇の規定が明確に定められています。さらに、リフレッシュ休暇や誕生日休暇など、独自の休暇制度を設けている職場も増えています。これらの制度が単なる制度として存在するだけでなく、実際に活用されている点が重要です。

管理者の意識が高い

看護部長や師長が「働きやすさ」を重視し、スタッフの声に耳を傾ける姿勢を持っています。また、休暇取得を促進する具体的な取り組みを行っており、「休むことは当たり前」という考えが浸透しています。

働き方改革への取り組みがある

残業時間の削減や業務効率化など、具体的な施策を実施しています。ICTの活用や記録の簡素化、業務の優先順位付けなど、実効性のある取り組みを行っていることが特徴です。

職場の雰囲気が良好

スタッフ同士のコミュニケーションが活発で、互いにサポートし合える関係が築かれています。休暇を取得することへの後ろめたさがなく、むしろ休暇取得が推奨されている雰囲気があります。

3-2.面接で確認すべき休暇に関する質問ポイント

面接は、職場の実態を知る重要な機会です。以下のような質問をすることで、その職場の休暇に関する本質的な部分が見えてきます。

具体的な質問例

「有給休暇の年間平均取得日数はどのくらいですか？」
単なる制度の説明ではなく、実際の取得状況を確認することで、本当に休暇が取得できる環境かどうかがわかります。

「夜勤の回数や、休日の呼び出しはどの程度ありますか？」
実際の勤務状況を具体的に把握することで、プライベートの時間が確保できるかを判断できます。

「急な休みが必要になった場合、どのように対応されていますか？」
この質問への回答から、職場の柔軟性や支援体制の実態が見えてきます。

3-3.働きやすい職場を見つけるためのチェックリスト

最後に、職場選びの際に確認すべきポイントをまとめました。これらの項目を意識することで、より良い環境を見つけることができます。

基本的な労働条件

年間休日数、夜勤回数、有給休暇の取得率など、具体的な数字を確認します。また、それらが就業規則にしっかりと明記されているかも重要なポイントです。

職場の体制

看護師の配置人数や、常勤・非常勤の比率を確認します。基準配置よりも多めの人員配置があれば、休暇を取得しやすい環境である可能性が高くなります。

実際の職場の様子

可能であれば職場見学を依頼し、実際のスタッフの様子や職場の雰囲気を確認することをおすすめします。スタッフの表情や会話の様子からも、多くの情報を得ることができます。

より良い環境で働くためには、このような視点で職場を選ぶことが重要です。次の章では、実際に転職を決意した看護師の方々の事例や、具体的な転職のステップについてご紹介していきます。

4.休みの悩みを解決するための転職という選択肢

これまでご紹介してきた対策を試みても状況が改善されない場合、転職という選択肢を検討してみることをおすすめします。多くの看護師の方は「今の職場を辞めることに不安がある」とおっしゃいますが、より良い環境で自分らしく働くことは、看護師としてのキャリアを長く続けていくためにとても重要です。

4-1.転職で実現できる理想的な働き方とは

看護師の転職市場は、現在も高い求人需要が続いています。そのため、自分の希望する働き方を実現できる可能性は十分にあります。

ライフスタイルに合わせた勤務形態

育児や介護との両立、自己啓発の時間確保など、それぞれの生活スタイルに合わせた働き方を選ぶことができます。例えば、夜勤のない職場や日勤のみの職場、時短勤務が可能な職場など、多様な選択肢があります。

計画的な休暇取得が可能な環境

年間休日数が130日以上の職場や、有給休暇の取得率が80%を超える職場も増えてきています。このような職場では、長期休暇の取得や、プライベートの予定に合わせた休暇調整が実現できます。

ワークライフバランスを重視する職場文化

残業時間の削減や業務効率化に積極的に取り組み、スタッフの生活と仕事の両立を支援する職場が増えています。このような環境では、心身ともに健康的に働き続けることができます。

4-2.転職で休みの問題が改善した看護師の実例

実際に転職をされた看護師の方々の体験をご紹介します。これらは私が転職支援を行った方々の実例です。

Aさんの場合：大学病院から診療所への転職

以前は月9回の夜勤があり、休日も緊急呼び出しがあるなど、プライベートの時間が持てない状況でした。診療所に転職後は、土日祝日が確実に休みとなり、有給休暇も取得しやすくなりました。「家族との時間が増え、生活にゆとりができた」とおっしゃっています。

さらに、基本給は以前と変わらず、夜勤手当がなくなった分を時間外手当でカバーできているため、収入面での心配もないそうです。「もっと早く転職すれば良かった」と話されています。

Bさんの場合：総合病院から訪問看護ステーションへの転職

急性期病棟での勤務で体力的な限界を感じていたBさん。訪問看護に転職後は、自分のペースで仕事を組み立てられるようになり、計画的な休暇取得が可能になりました。

特筆すべきは、オンコールはありますが、実際の呼び出しは月1-2回程度で、以前より確実に休みが取れるようになったこと。「看護の仕事の新しいやりがいも見つかった」と話されています。

Cさんの場合：救急病棟からクリニックへの転職

不規則な勤務で体調を崩しがちだったCさん。クリニックへの転職後は規則正しい生活が送れるようになり、「仕事と育児の両立ができるようになった」と喜ばれています。

収入面では、夜勤手当がなくなることを心配されていましたが, クリニックでの充実した福利厚生や残業代の支給により、年収はほぼ変わらない水準を維持できているそうです。

このように、転職によって働き方を改善された方は数多くいらっしゃいます。もちろん、転職にはそれぞれメリット・デメリットがありますが、人生の長い目で見たときに、自分らしい働き方を選択することは、とても重要な決断となります。

4-3.より良い職場環境を見つけるためのステップ

実際に転職を検討する際は、段階を追って慎重に進めていくことが大切です。キャリアアドバイザーとしての経験から、最も効果的な手順をご紹介します。

【Step1】自己分析と希望の明確化

まずは、「どんな働き方がしたいのか」「何を優先したいのか」を具体的に書き出してみましょう。休日数や勤務時間だけでなく、通勤時間、給与、職場の雰囲気など、自分にとって譲れない条件を明確にすることが重要です。

【Step2】情報収集と市場調査

看護師専門の転職サイトや転職エージェントを活用して、希望に合う求人情報を集めましょう。この段階では、できるだけ多くの情報に触れることで、現実的な転職先のイメージを作ることができます。

【Step3】専門家への相談

看護師専門の転職エージェントに相談することをおすすめします。エージェントは非公開求人の情報も持っており、より条件の良い求人を紹介してもらえる可能性があります。また、面接対策や条件交渉のサポートも受けられます。

4-4.転職の不安を解消するためのQ&A

転職を考える際には様々な不安が出てくるものです。ここでは、私が転職相談でよく受ける質問についてお答えします。

収入面への不安

ブランクがある場合の転職

年齢による転職の制限

このように、転職に対する不安は必ず解決策があります。まずは気軽にご相談ください。豊富な転職支援実績を持つ私たちが、あなたの理想の働き方の実現に向けて、親身にサポートさせていただきます。

4-5.あなたに合った転職先を見つけるためのチェックシート

転職を検討する際は、以下のチェックシートを活用してみてください。自分に合った職場を見つける指標になります。

このチェックシートは、あくまでも基本的な確認項目です。ご自身の優先順位に応じて、項目を追加したり、重要度を設定したりしてください。また、面接の際にこれらの項目について確認することで、より具体的な職場のイメージを掴むことができます。

私たち転職エージェントは、このようなポイントを踏まえた上で、あなたに最適な職場をご紹介させていただきます。ぜひ一度ご相談ください。

まとめ

看護師の仕事は、人々の命と健康を支える大切な職業です。だからこそ、働く看護師自身が心身ともに健康で、充実した生活を送れる環境が必要です。

休みの少なさに悩んでいる方は、まず現在の職場での改善を試みることから始めてみましょう。シフト調整の工夫や、有給休暇の計画的な取得など、できることから取り組んでいくことが大切です。

しかし、十分な改善が見られない場合は、転職という選択肢も積極的に考えてみてください。より良い環境で働くことは、看護師としてのキャリアを長く続けていくために、とても重要な決断になります。

休みが取りやすい職場、ワークライフバランスの取れた環境は確実に存在します。ご自身の希望する働き方を実現するために、一歩を踏み出してみませんか。

私たち看護師専門の転職エージェントが、あなたの理想の働き方の実現に向けて、しっかりとサポートさせていただきます。まずは気軽にご相談ください。